幸太郎

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ある日、
私は大冒険に巻き込まれた。
それはそれは
ドキドキの連続であった。
空想にしか出てこない怪物とも戦った。
冒険家なら一度は体験したい要素は
ある程度体験した。

しかし、問題があった。
まったく楽しくないのである。
それはそうだ。
登場人物が私だけなのだ。
話し相手がいない。
ひょんなことから助けることになる
美しいヒロインはいない。
怪物を倒したところで
尊敬してくれる住民もいない。
冒険を乗り越えても
分かち合う人がいない。
自分の凄さを自慢する相手もいない。

冒険は『映画のドラ◯もん』
くらいがちょうど良い。
日帰りくらいの冒険で、
仲間とキャッキャッと騒いで、
しこりなく解決。
明日には五体満足で
いつもの日常にもどるような。

好き嫌い言っていても仕方ない。
もしかしたらこの冒険が意味ある冒険になるかもしれない可能性はまだある。

数年後。
私はラスボスっぽい城の近くで、
商人をやることにした。
客はまだ一人も来たことはない。

6/13/2024, 4:09:00 AM