るに

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夜、変な時間に起きてしまった。
雨が降ってるようで
ザーという音が気になって眠れない。
仕方ないので
ベッドから起き上がって、
お気に入りの藍色のソファに腰を下ろす。
猫がお茶会を開いている絵画は
いつ見ても心が落ち着くなぁと、
甘すぎるぐらいの抹茶を飲んだ。
私の家は
窓が多い。
だから外もよく見える。
だんだん強く、
カーテンのように降る雨を
15分ほど見つめていた時だった。
長いマフラーが目に映り、
その少年を見つけた。
片足は義足だろうか。
木でできている。
傘もささずに雨に佇む姿は
堂々としていて、
羨ましい限りだった。
でもこんな時間になぜ外に?と
30秒ほど見つめてようやく疑問が湧いた。
視線に気づいたのか、
少年はこちらを見て
口を動かしていた。
何か言っているように見えるが、
雨の音で聞こえない。
少年はにこやかに微笑み
そのままどこかへ行ってしまった。
はっとした。
あの笑顔を
どこかで見たことがあると思った。
急いで本を引っ張り出した。
この子だ。
この子が一番最初に話した言葉。
私が大好きな漫画の一言。
"Good Midnight!"
そう言ってたのか。
気づいたらベッドの上だった。
なんだ、夢か。
少し寂しい気持ちになった。
外は晴れていて
水たまりをキラキラと光らせていた。

8/27/2024, 1:11:54 PM