どんなに離れていても
ベッド際の窓辺に立って、夜空を見上げている。今夜は月が出ていた。月の光は実際思ったよりも明るくて、庭の木々が微かに白々として見える。李白の漢詩にも、そんなのがあったなと、何となく思ってみたりする。
月は東西南北、古今を貫くものだ。人々は皆、等しく同じ一つきりの月を見上げている。どんなに離れていても、どんなに過去でも、どんなに未来でも。月というものが無くならない限り。
長らく会っていない人達がいる。その人達の元にも、月はあまねく平等に光を降り注いでいるのだと思うと、しみじみとする。水面に映る月を取ろうして水底に沈んだ李白も、きっと寂しかったのだろうか。
4/26/2025, 10:25:53 PM