川柳えむ

Open App

「なぁ、あの空の先には何があると思う?」
 友達が海の向こうまで続く空を眺めながら、そんなことを言ってきた。
「空の先? さぁなー。海は最後滝みたいになってて奈落に落ちてくって話だろ? 空はまぁ続いてんじゃね?」
「海はなくなるのに空は続いてるのも不思議な話じゃないか?」
「そうかぁ?」
「もしかしたら空も途中でぶっつり切れてて、その先は闇が続いてるのかも」
「それもあるかもな」
「それか神様がいたりして」
「たしかに神様見たことないしな。もしかしたら空の端っこの方にいるのかも」
 空が続くその向こう側を見てみようと睨む。
 やっぱり、ただひたすらに澄み渡る青い空が続いていることしかわからなかった。
「僕、大きくなったら船乗りになって、空の先がどうなってるか見に行く!」
「俺は家継がなきゃいけないから付き合えないけど、どんな景色だったか教えてくれよ」
「おう。約束するよ」

 そしてあいつは船乗りになり、空の先を見に向かった。
 約束はまだ果たされていない。
 もしかして、本当に神様を見つけてしまったのかもしれないな。と、広がる海と青い空を見るたびに友のことを思う。


『どこまでも続く青い空』

10/23/2023, 10:21:11 PM