Open App

君に会いたくて、星の降る夜をひたすら走った。綺麗な石を夕方まで探した中洲のある川とか、肉まんとあんまんを半分にして食べた公園のベンチとか、ありったけ遠くに行こうとお揃いの自転車を買ったバイクショップとか。君との場所が、走馬灯のように視界を横切り、そして消えていった。
道はひたすら真っ直ぐで、電灯の無くなった街を星あかりが照らした。時折空のどこかで青白い光が強く煌めき、そしてまた鈍い光に戻る。そして、また光るのを繰り返す。
いつか君とした約束が、本当になるなんて想像もしていなかった。けれども、こうやって時が迫ると、いても立ってもいられなくて走るんだ。ねえ、君もそうでしょう?

いつか、星の降る夜の最期は、君と。

小さくない島がまたひとつ海に沈んだ日、長い睫毛に水滴を光らせた君と、絡んだ小指に誓ったエピローグ。降り注ぐ星球が燃えては消え、世界の終わりを鮮やかに告げる。
果たして辿り着いた歩道橋は、いつか君と夕日を見た場所で、一際青く光った星の下に、君の微笑みを見つけた。

やあ、待たせたね

差し出した右手で繋がる君は、終末の星の誰よりも綺麗だった。

【君に会いたくて】

1/19/2023, 5:17:16 PM