夜明け前
3年前のとある日の夜明け前、祖父から祖母の様子がおかしいと連絡が入った。
僕と母は祖父母の家へ向かった。少し調子が悪いのだろうという程度に思っていた。
以前同じようなことがあったからだ。
だが、その日は違った。
すでにぐったりした状態で、これはまずいと家に入った瞬間に思った。
すぐに救急車を呼びその間、人工呼吸をしていた。
救急車が到着し病院に搬送されて医師から診断を下される前にすでに絶望的な状況を悟ったのか、祖父は病院についてこなかった。
祖母が天寿を全うした。
とても優しく強い人だった。
僕の家が経済的に苦しい状況に陥った時に真っ先に駆けつけ、お米とお金を置いていってくれた。
祖母は2度家を失っている。
1度目は第二次世界大戦の空襲で、そして2度目は東日本大震災で津波で家を流された。
津波で家を流され、僕の家の近くに新しく住むことになった。
そんな祖母はとても前向きだった。
祖母のコミュニケーション能力は非常に高く僕は圧倒された。
新しい土地に来たにもかかわらずあっという間に沢山の人と交友関係を育んでいた。
祖父は祖母とは違いコミュニケーションは苦手だった。お互いがお互いを補っているような関係性だった。
だからなのか、祖母がなくなった1年後、祖父も旅立った。
祖父が亡くなる数時間前に幸運にも僕は病院で会うことができた。
そこで祖父が僕に「一番大変だろうけど頑張ってな」と声をかけてくれた。
祖父が最後の大事な時間に僕のことを気遣った激励の言葉をかけてくれたことがとても嬉しかった。
僕の苦労全て理解してくれたようで救われた気がした。
祖父も祖母と同じでとても優しく強い人だった。
僕も2人のようにありたいと思っている。
9/13/2023, 11:53:14 AM