かたいなか

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「愛と平和、天国と地獄、あなたとわたし、安心と不安、夢と現実。……前々回は『光と闇』だった」
書く習慣アプリ、記憶してるだけでも「◯◯と△△」のお題が6個ある件。
某所在住物書きは過去投稿分のお題をたどりながら、いち、に、さん。お題とお題を数えている。
比較的、「これが出題されやすい」が決まっているように見えるのだ――すなわち空ネタ、雨、恋愛にエモ、そして年中行事と「◯◯と△△」である。
他にも1〜2ジャンル、あるかもしれない。

「夢と現実ねぇ」
物書きは呟いた。
「そもそも、去年何かいたっけな」
たしか夢オチ、起きたらベッドの上の物語である。

――――――

走ってるソシャゲで、バチクソな神引きに歓喜して、スキル枠を見たら存在しない属性持ち。
現実に戻ってきたら普通に夢オチでしたの慟哭を、丁度先日経験した物書きです。
「夢と現実」と題しまして、今回は新着ガチャ実装なおはなしをご用意しました。

最近最近のおはなしです。都内某所のおはなしです。お題回収役の名前を、後輩、もとい高葉井といいまして、いわゆる推し課金者。
彼女が走っているソシャゲは、たまに、事前に来週実装予定のガチャが告知されるタイプ。
その日、高葉井はスマホをガン見して、
ぱっくり、口を開けておりました。

戦隊ヒーロー・ヒロインコスの新規絵ガチャです。
高葉井が走っているゲームは元々、警察モノや博物館モノ、異世界モノと好相性だったものの、
そこに公式が、ガッツリSNSで事前PVを打って、戦隊モノを噛ませてきたのです。
名付けて「管理局戦隊 アドミンジャー」!
高葉井の推しカプは双方、最高レアでの実装です。

『諸君に最新情報を共有しよう』
ソシャゲのログボ更新とともに公開されたPVを、後輩もとい高葉井、もう何回も視聴しました。
『管理局収蔵品「変身ジェム」の暴走により、
適性を秘めた世界線管理局員が、緊急着装!
ゆけ。アドミンジャー!世界の調和を守るのだ!』
戦隊アニメの大御所にコスチューム作成を依頼したおかげで、その手の方々は大歓喜。
『次回、管理局戦隊アドミンジャー「夢と現実」
来週も統合合体承認! 物語の鍵はコレだ』

なお「物語の鍵」として表示されていたのは、普通にログボキャンペーンとガチャ内容の紹介、
そして、対象キャラ獲得による限定ボイス開放のお知らせと、サンプル視聴用のリンクでした。

神引き完凸全種コンプの夢と、
先月の神ガチャ&課金による金欠の現実。
おお、高葉井よ。汝、推しと推しの幸福をただただ見つめていたい観測者よ。
あるいは推しカプの関連グッズは実用と実用のスペア用と保存用を最低でも確保したい収集者よ。
汝の夢は遠く、汝の現実は非情なのです。

ということで、高葉井に協力者を召喚しましょう。
後輩の先輩です。藤森といいます。

「着装! アドミニスターレッド、現着!」
ビシッ! 先輩・藤森のアパートで、コタツに足を埋めながら、高葉井、藤森にプレゼンです。
「統合合体承認。ゴー!キングマンダリン!!」
高葉井はバチクソにノリノリですが、
藤森としては、完全にチベットスナギツネ。
はぁ、左様ですかの心境です。

「カッコイイでしょ、このボイスと、ジョブ衣装、期間限定なの。逃がしたら、復刻まで来ないの」
夢を追いたい後輩なのです。金欠を変えたい後輩なのです。完凸が無理でも、無凸コンプあるいは、最低限推しタッグだけは、確保したいのです。
「おねがい、先輩、おねがい。協力申請……」
コタツのテーブルに、おでこペッタリ。
後輩の高葉井、先輩に頭をバチクソ下げました。

何度も見た光景だ。 藤森、胸中で呟きます。
まぁ、こちらに特に、これといって、デメリットは無いし。 藤森、小さなため息など吐きます。
通常どおり。平常運転。藤森、お人好しなのです。

「いつもどおりの協力内容で、良いのか。
つまり、食費と光熱費節約を目的とした、シェアランチとシェアディナーと?」
「おべんとーも、おねがいします」
「期間は」
「今週から、来週の、ひとまずガチャ実装まで」

「今週は、私のほうが少したて込む」
「そこを何とか、神様、藤森様、スフィンクス様」
「……す?」
「アドミニスターオレンジなの。日向夏内蔵基地Ko-Ta2の操縦士で、水晶文旦の守護者で、不知火24+1が統合合体、キングマンダリンなの」
「きんぐまんだりん??」

「お願いします。後輩の夢を、後輩の現実を」
「はぁ……」

最終的に、協力申請は双方が、光熱費なり調理費なり、あるいは食材そのものなんかを、
5:5想定で持ち寄って、2人分を一気に藤森が調理し、生活費を圧縮するということで、
スポン。承認されましたとさ。

12/5/2024, 3:17:40 AM