夢を見た。
彼女は目眩がするような青空を背に笑っていて、黄色いリボンの着いた麦わら帽子がよく似合っていた。
真っ白なワンピースの裾を翻しながらこちらに駆け寄る彼女を抱きとめる直前、視界が真っ赤に染る。
あぁ、またこの夢だ。
視線を移せば、アスファルトに寝そべる彼女の後ろ姿が見える。綺麗な黄色いリボンが、赤く染められていく。
脳漿を撒き散らした彼女がゆらりと起き上がって、フラフラと頭を揺らしながら僕を見た。
次に視界に映ったのは、薄暗い部屋の見慣れた天井だった。
もう肌寒い季節になったというのに、僕はまだあの日に囚われているらしい。
のろのろと身支度をすませて外に出ると、吐き気がするような青空と、彼女のいない世界がひろがっていた。
11/4/2024, 2:54:45 PM