去る直前、アイツは「生きろ」と言い遺した。
あの時の、傷だらけの背中を、まだ憶えている。
アイツのいない世界で生きていけると、生きていたいと思うはずがない。
アイツがいなくなる前から、そう確信していた。
だからあの時も、できることなら、あの傷だらけの背中を追いたかった。
でも、あの言葉が、オレを現世に縛り付けていて。
実際いなくなった今も、オレは生きている。
生きてしまっている。
オレの信念を、言葉一つで揺るがしてしまったお前が恐ろしい。
お前のせいで、オレはこんな愚かで、惨めな野郎になっちまった。
どうすればいいってんだよ。
お前は一体、オレをどうしたかったんだ。
なあ。
【君の背中を追って】
6/21/2025, 12:03:54 PM