『ところにより雨』
雨が降っている。
——俺の頭上にだけ、…………。
今日の天気は雲一つない快晴、ただし。ところにより雨。
主に俺の頭上がな。
○○○
俺は、どこにでも居る大学生だ。
朝起きて、大学行って、友達と遊んで、課題やって、寝る。
そんな当たり前の行動しかしてない俺が、なんでこんな目にあってるのだろうか。
「やっぱ、あれなんじゃないの~? 雨女ちゃんの呪い」
「馬鹿か、この世に呪いなんて存在しない」
「じゃあ今の不っ思議~な状態に対する説明は~?」
「…………」
友人がヘラヘラとした顔で俺に話し掛けてくる。
チャラチャラしたヤツだが、それなりに友情に篤いらしく俺の周囲に雨が降るという異常が起きても、変わらずに話し掛けてくれた良い友人の一人だ。
「雨女、か……」
「ちょっと地味な子だったよね~」
「……よく覚えてない」
「ひっど~!!」
雨女、とは。たしか大学に所属する一人の女学生を指す言葉だ。
随分な雨女らしく、彼女が居るところには常に雨が降るという。
大学入学時に遅れて来た際、彼女がやって来た途端に、雲一つない快晴が土砂降りのゲリラ豪雨になり、病弱な彼女が倒れて運ばれたのち、また直ぐ様に立派な虹のかかった晴天になったのは、この大学で有名な話だ。
俺はよく知らないんだが。
「なぁ、あのときの雨の話は本当の話なのか?」
「ん~? あ、そっかぁ。君は、あの雨女ちゃんを運んでたから、虹が掛かるのを見てないんだっけ~?」
「ああ、正直疑っている」
「あ~、まあ、ね。うん、うん。仕方ないかあ~。でも、アレじゃない? たぶん、君が雨女ちゃんに告白された、惚れられた理由ってソレだと思うよ~きっと」
俺は少し眉を潜めた。
不快だったからではない。理解出来ず、意味が分からなかったからだ。
「……普通に人助けしただけだろ? 何故、それで惚れた晴れたの話になるのか分からん」
「そういうとこ~」
……どちらにしても、このままでは埒があかない。
「彼女と話をしてみようと思う」
「頑張れ~」
○○○
友人と別れ、ツテを辿り、彼女の家の前に辿り着いた。
彼女の家、青い屋根の一軒家に対して、俺は一つ深い深呼吸を、したあと、覚悟を決めてインターホンを押した。
“ピンポーン”
「はい」
……出たのは、見知らぬ女性だった。
面食らう俺だが気を取り直して、妙齢の女性と少々話をする。
「娘に会いに来たの……」
「はい」
「そうなのね、でも……」
「でも?」
「娘は今、病院で植物状態なのよね」
「…………はい?」
「ちょっと貴方、娘を起こしてきて下さらない??」
「は?」
「お願いね」
手に紙を握らされて、反論の隙もなく扉を閉められる。
手に残る紙には、病院の住所と、病室が書かれていた。
「行くしか、ないのか」
俺はため息一つ吐いて、諦めて病室に向かうことにした。
○○○
これは、局所的に雨が降り注ぐようになった俺が、雨女と言われる“秘密”を生まれ持った彼女と、世界の真実に対して深く関わりながら、仲を深めて行く話だ。
続かない、
おわり!!
○○○
追伸、久々に長くなりそうで、途中で慌てて切った。
長い長文にも関わらず、ご愛読ありがとうございました。
3/25/2026, 12:47:33 AM