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 麓の高校へ進学を決め、受験の合格通知が届いたのと時を同じくして、祖母が病に伏せた。
 ずっと通い病院に行っていたが、今度は長期入院になるらしい。気が付かなくてごめんと謝ると、祖母は
「受験のほうがずっと大事よ。制服姿が見れるまで生きてただけでも儲け物さね。合格おめでとうねぇ」
 と病室で笑顔を見せてくれた。

 一人きりで山の上の実家に戻る。自分は進学を機に街で一人暮らしだから、祖母のいないこの家はしばらく無人になるのだろう。いつまでだろうか、祖母は帰ってこれるのだろうか。

 ここに尋ねてくる人は、誰もいない家を前にがっかりしないだろうか。

 わかっている。もうあの子と別れて2年になる。これまで顔を見せに来てくれなかったのに、これから来ることはない。
 彼は今頃どうしているのだろうか。

2/26/2024, 11:04:33 AM