親から逃げるように俺は橋の下に隠れた。
俺の親はいつも完璧を求める。
「兄はできているのになんであなたはできないの」
何度言われた言葉なんだろう
比べられるなんてもう嫌だ。
俺は今年受験生で
進路を決める時に逃げ出してきた。
兄はこんなことしなかったんだろう。
そう思いながら俺は俯いた。
俺がどんなに抵抗しても
母や父には聞かないだろうけど...
「何してるの?」
顔を上げるとそこには小学生くらいの女の子がいた
「逃げてるの」
「鬼ごっこ?かくれんぼ?」
「うーん,どっちも」
「じゃあ隠れ鬼かー」
「君は何してるの?」
「遊んでるよ」
「お兄ちゃん悲しいことあったの?悲しい顔してる」
「え?...うん,そうかも。悲しいことあったんだ。」
「大丈夫?」
「大丈夫じゃないかも」
「じゃあ私と遊ぼ!」
そう言って少女は俺の手を引いて走った。
少女はニコニコしながら俺と遊んだ。
俺もつられて笑顔になった。
「お兄ちゃん元気になった?」
「うん元気になったよ。ありがとう。」
「でも泣きそうな顔してるよ?」
「君が優しくしてくれたから嬉しくなったんだよ。」
「え!!私優しい?やったー!!」
この場所で出会った小学生の少女に
俺は救われたと思う。
元気をもらって笑顔をくれた。
彼女の優しさに救われた。
落ち込んでいたことを忘れさせてくれた。
この場所で出会ったあの子に
「ありがとう」を送る
どうか彼女が悩んだ時
彼女みたいな子が現れて
救われるといいなぁ
人との出会いの大切さを学んだ日
俺は少し強くなった。
─────『この場所で』
2/11/2023, 10:52:06 PM