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"手のひらの贈り物"

海の中、私はずっと漂っている。
どこに行くにも潮に任せて、深く深く沈んでいく

行くところなんて特になくて、時に暖かい潮が心地よかった。

四肢の動かし方など疾うに忘れている
きっともう陸に上がることなど叶わないが、後悔などなかった。

今日は浅瀬に流されて、久しぶりの光を感じていた。
水面が照らされてキラキラと輝いている。

それを無心で見つめていると、一等輝くものが目に入った。

必死に手を動かして、もがいてみると案外呆気なくそれは手に入った。

碧い貝殻、裏面が宝石のように輝いて日に当ててみると眩しいほどに光始めた。

こんな私に捕まるなんて、同情したが所詮無機物。
誰の手に渡っていようが関係ない。

輝くそれが手元にある言い訳に満足して、胸に抱いた。

12/19/2025, 11:59:31 AM