るな鳥23

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部屋に差し込む薄い光で目が覚める。自分の快眠を邪魔しやがってと陽の光をキッと睨みつける。しかし、別に太陽も居たくて空に昇っている訳では無い。地球が勝手に周囲を彷徨いてるだけなのだ。なんだか次第に太陽が可哀想になってきた私は、カーテンを閉めようと静かにベッドを抜け出した。

広々とした部屋には私しかいない。数週間前にはここで恋人と2人で酒を飲んで盛り上がっていたというのに。騒いでいた痕跡はあれど人がいた影など無いに等しい、寂しさが残る部屋だった。
盛り上がっていた、騒いでいたと言うのも、もしかすると自分がそう感じていただけかもしれない。酒を飲んでいる時はからからと楽しそうに笑ってくれるけど、飲んでいない時はただひたすら無機質なロボットのような顔でじっとスマホを見ているのだ。

カーテンを閉めるべく前を見ると太陽は空の頂上と地面の間にいるようだった。

昔は太陽のような暖かな人だった。いつもニコニコとしていて、子供のように無邪気で、困っている人をほっとけなくて、自然と貴方の周りには人が集まっていた。

貴方を太陽だと表すならば自分は地球なのかもしれない。太陽にくっついてまわり、自らの手で滅びゆく星だ。

自分はとっくに限界を迎えていたのかもしれない。子供のような無邪気さで自分をを振り回し、顔を真っ赤にして詰め寄り怒り、真っ白な顔で泣いて謝る。最初のうちは耐えられたけれど、次第に心を守る膜はじわりじわりとドロドロに溶けだしカラカラにかわいて気付けば何も感じない感受性が死んだ人間になってきた。

自分は太陽から隠れるようにカーテンを閉めた。





【お題無視】

2/7/2025, 11:16:37 AM