三神狐

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「ごめん」
 それがあなたの最後の言葉だった。

 ただ、横断歩道を歩いていただけだった。
 悲鳴のような音が響いて、気づいた時には視界いっぱいのトラック。私は迫ってくる死の音に、なす術もなかった。
「絵里香!!」
 呼ばれた。と思った瞬間、私は地面に投げ出されていて、代わりにあなたが倒れてた。奥にはひしゃげたトラックが転がっていた。
 頭から血が広がって、
 足が変な方向に曲がって、
 あなたはピクリとも動こうとはしなかった。
 思わず駆け寄った私に、あなたは呼吸も途切れ途切れに呟いた。たった三文字。

 何であの時、あなたが私に謝ったかは分からない。
 謝るのは私の方なのに。
 あの時死ぬべきなのは、私だったのに。
 
 枯れるほど泣いた後、胸に何かの塊が残った。
 あたたかくて、熱い。
 それは私を励ましているような、
 守ってくれているような気がした。
 そうやって、
 あなたは私の胸の中で、
 ずっと、焔として生きている。

10/27/2025, 1:49:14 PM