書く習慣

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 わたしには白い友だちがいる。
 白くてふわふわの毛並みの犬だ。もうそろそろ、五歳になる。
 彼は、わたしと、つかず離れずで暮らしている。あまり、べったりと甘えたいタイプではないようだ。
 けれど、わたしがベッドに横になると、彼は必ずこちらに来る。軽やかにベッドの上を歩き、なぜか一度、わたしの顔を覗き込む。
 そして、くるりと背を向けて、わたしの脚の上に乗る。
 ふう、とため息をつき、自分の前あしを舐めて、少しずつ眠りに入っていく。
 わたしは、手を伸ばさずにはいられない。
 彼の背中を撫で、後頭部を撫で、ちょっと鬱陶しそうに向けられる視線に思わず笑ってしまいながら、幾度となくこう考える。

 ――ねえ、きみ。きみは、うちにきて、幸せかなあ。
 きみが幸せと感じるものは、きみにしかわからない。だから、わたしには、想像することくらいしかできないけれど。
 少なくとも、わたしは幸せだ。きみに出逢えて、きみが今日も元気でいてくれて、わたしは幸せなんだ。
 わたしができるすべての事で、きみを幸せにしたい。いつか来る別れのときに、きみはきっと幸せだったでしょうと、わたしの心が迷いなく誇れるくらいに。

 わたしの大切な友だち。
 今日も一緒にいてくれて、ありがとう。
 どうか、安心して、ゆっくりおやすみ。
 また明日。

3/23/2023, 11:27:00 AM