小さな街の更に外れにあるこの家からは星がよく見える。星が見えれば方角がわかる。方角がわかればこの家から出て行ける。寝付けない夜の手持ち無沙汰に、バルコニーで一人そんなことを考えていた。瞬きの間にひとつ、目の前で見知らぬ場所へと星が落ちる。寝巻きのままサンダルも履かず、一体どこへ行くつもりだというのか。家の中からばたばたと足音が聞こえる。あの人が呼びに来る。風邪を引くだの何だのきっと怒られるだろう。その声を待ちながら、今一度空を仰ぎ見た。
(題:流れ星に願いを)
4/26/2024, 3:33:32 AM