ゆりあ

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天国と地獄

「本当にするの?」
「…何、今更怖気付いた?」
「いやそういう訳ではなく」

急にこんな事頼んでしまって心底申し訳ない気持ちでいっぱいなんだ、俺は。それでも断らず頼まれてくれたお前に感謝の気持ちもいっぱいで。
…いくら親友でも流石に断るだろうと思ってた。…というか親友とか関係なしにこの頼みを受け入れる人の方が少ないだろ。

…一緒に心中しよう、なんて頼み。

「…じゃあ何…」
「俺達って天国行くのかな、地獄に行くのかな。」
「…は?」

何言ってんだコイツは。というかこんな事言うキャラだったか、コイツは。

「…分かんないけど。こんな事するような俺達だし…天国には行けないんじゃないの」
「そうかぁ」
「…本当にどうしたの」

最期だから、と何か言いたい事でもあるのだろうか、などと思ったがそんな事ないらしい。案外肝が据わってるよな、と今更ながらに考える。

「…お前と行くんなら天国の方がいいなぁとか思ったけど。…うん。でもお前となら地獄でもいいかもなぁ、なんて。」
「…は?…馬鹿なの?何言って…」
「いいじゃん。どうせもう最期だし。…いつからかは覚えてないけど、お前の事好きになってたんだよ、俺。」
「…おかしい、なんで」
「今更じゃん。おかしいなんて。…好きだから、お前のこの誘い受けたんだよ。」

なんで最期の最期にこんな事…、…いや、最期の最期だからこんな事を言ったのか。

…なら、俺もいいよね。

「…俺も好きだよ。お前のこと」
「はは。知ってた。…お前となら、天国でも地獄でも、何処へだって着いてってやるよ。」

5/27/2024, 12:33:32 PM