NoName

Open App

木枯らしよ吹くな。
私の心を寒風に晒して。
木枯らしよ吹くな。
彼の心を殺戮に染めて。
相手の悲しみも、私の哀悼も、雲の上に喪服の色をして消えたよ。
悲しみの色は黒い色をしていた。
もしくは、黒い煤のような、焼けた灰の色をしていた。
悲しみよ吹くな。
惜別よ、友の身体と共に。
苦しみよ吹くな。
カラスの瞳は、復讐の色に染まって、そうして文字のように消えた。

1/17/2024, 10:18:41 AM