カップルで溢れている日曜日の公園。
この公園には桜の他に、色んな花が植えられている。
今の季節、春は特にすごくて、公園中の花が満開で見頃なのだ。
私の周りにいるカップル達が手を繋ぎながら、キャッキャウフフと花見を楽しんでいた。
あんなに浮かれて……一人で来ている私の身にもなってほしい。
と言いつつ、私は出会いを求めてここへ来たけど……場違いだったかも。
春をイメージして、ピンクのワンピースを着てきたのに、これではただの浮かれた女だ。
あーあ、どこかに良い男が落ちてないかなぁ。
「はぁ……はぁ……君ぃ、ちょっといいかな?」
「きゃっ!変態さん!?」
欲求不満の興奮している息遣いの荒い変態かと思って、思わず声が出てしまった。
「ち、違う。すまない。走ってきたから息が荒くなってね。はぁ……はぁ……」
両肩を大きく上下させている背の高い男性。
よく見ると、イケメンだった。
「ちょっと待ってて。スゥーー……ハァーー……」
男性は深呼吸し、息を整えている。
「よし。改めて、君。イベント会場ってどこか分かるかな?もうすぐイベントが始まるから走ってたんだけど、迷子になってしまって……ははは」
男性は苦笑いしながら言った。
腕時計を見ると、もうすぐ十五時。
確か、この時期限定の催し物があるんだっけ。
「場所は分かりますよ。よければ案内しましょうか?」
「いいのかい?助かるよ!」
男性と一緒に、イベント会場へ行くことになった。あれ?これってもしかして……チャンス?
お互い一人同士。
しかも相手は身長が高いイケメン。
よーし!春をゲットするぞ!私!
私は心の中で、気合いを入れた。
「ここがイベント会場です。あっ、もうすぐ始まりますね」
「よかったー間に合って。ありがとう。案内してくれて」
「いえいえ、あの……よければ私と……」
「あー!やっと見つけた!どこ行ってたのよ!」
私が男性を誘おうとした瞬間、女性がこっちに走ってきた。
私と男性の間に、女性が割り込む。
誰よ、この女。
「悪い悪い。道に迷って、この子に案内してもらったんだよ。スマホで連絡しようとしたけど充電が無くなっててさ……ははは」
「んもう、出掛ける前は充電してって、いつも言ってるじゃない。ごめんね。彼氏が迷惑かけて」
女性は私の方を向き、頭を下げた。
「いえいえ……ん?彼氏?」
状況が分からず混乱している私に、男性が説明してくれた。
「彼女と公園のイベント会場で待ち合わせをしていたんだ。迷子になった時はどうしようかと思ったけど、君のおかげで助かったよ。ありがとう」
「い、いえ……」
つまり、私はカップルの待ち合わせの手助けをしたってこと?
気合いで膨らんでいた心の風船が、一気に萎んでいく。
「よし、見に行こうか」
「うんっ。間に合ってよかったね」
男性と女性は恋人繋ぎをし、私に見せつけながら去っていった。
「春のバカヤローーー!!」
私はカップルが沢山いるイベント会場で、人目を気にせず叫んだ。
4/15/2025, 12:24:10 PM