かたいなか

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前回投稿分からの続き物。
「ここ」ではないどこか、別の世界に、「世界線管理局」なる厨二ふぁんたじー組織がありまして、
そこではドラゴンも人間も、妖精も幽霊も機械生命体も、いろんな世界・いろんな境遇の者がいて、
なんなら本性を見たらどこからともなくサイコロが転がってきそうな宇宙タコのオネェなども、人間に変身して、仕事をしておったのでした。

ところで前回投稿分では、管理局で美味を知ったドラゴンが、人間の管理局員から教わって、
トントン、タマネギのみじん切りを覚えたところ。
『みじん切りができれば、鶏肉のつみれ団子や、コールスローサラダが作れるよぉ』
管理局員ドワーフホトは、ドラゴンに言いました。
『料理、楽しんでね〜』
それでも多分、ドラゴンは誰かに作ってもらった美味しい料理を、買って食うのでしょう。

さて。ここからがお題回収。
ドラゴンにみじん切りを仕込んだ管理局員は、ビジネスネームをドワーフホトといいまして、
ドワーフホトには、研修時期間から仲良しの、スフィンクスという大親友がおりました。

ドワーフホトもスフィンクスも、お互いが大好き!
コタツで一緒にみかんを食べたり、「こっち」の世界で一緒にごはんを食べたり、
なんなら一緒にお昼寝なども、するのでした。

ところでこのスフィンクス、ビジネスネームが無毛種の猫、「スフィンクス」なのに、
なんということでしょう、人間形態をやめたときの本性が、フッサフサのモッフモフ。
大きな猫というか、ちょい小さめのモフモフドラゴンというか、ともかく、モフみの眷属でして。
しかもタイミングの良いことに換毛期なのです。

「スフィちゃぁん、やっほー」
人間の管理局員ドワーフホト、ウサギテイストのエプロンとキッチンハットを畳んで、スフィンクスが仕事をしておる経理部に来ました。
「スーフィちゃん」

いつもならばスフィンクスは、自作の高性能コタツ、Ko-Ta2に入って、ミカンを生成するなりそれを食うなり、仕事をするなりしておるのですが、
おやおや、今回のスフィンクスは、本性のモフモフドラゴンキャットモドキに戻ってゴロン!
『なでろ』
尻尾をピタ、ぴた、ヤキモチなど焼いています。
『なでろ、ホト。俺様にかまえ』

前回の投稿分でドワーフホトが、ドラゴンと仲良く、とても仲良く料理をしておったのが、
スフィンクス、ちょっとジェラシーなのです。
換毛期でちょっと夏毛が浮いてきたスフィンクスは、ドワーフホトの目につく位置に毛取りブラシを置いて、それで、ヘソ天しました。

「スフィちゃんかわい〜部長さんに嫉妬してるぅ」
『ちげーし。してねーし。早くなでろ』
「スフィちゃん、タマネギ大丈夫だっけぇ?」
『普通に食えるし。だから、妬いてねぇし』
「ふ〜ふふぅーん」

わっしゃわっしゃ、もっしゃもっしゃ。
トラよりもライオンよりも、クマよりも大きいモフモフネコゴンのスフィンクスです。
大きな大きな毛取りブラシを使って撫でてやると、モッフモフな夏毛が、取れる、とれる。

「今年も抜けたねぇ、スフィちゃん」
わっしゃわっしゃ、もっしゃもっしゃ。
大きな大きな毛取りブラシを使って撫でてやると、モッフモフなスフィンクスが、にっこり。
ごろごろごろ、本当の猫のように鳴きました。
「永遠に抜けそうなムーブぅ」
『抜けねぇし。さすがにそんな、抜けねぇし』

永遠なんて、ないけれど、フサフサ!
スフィンクスの夏毛がどっさり、抜けてゆきます。
永遠なんて、ないけれど、モフモフ!
スフィンクスが少しだけ、スリムになります。
『ああ……いいぜ、気持ち良い。最高だぜ。ホト』
「だろうねぇー」
『終わったら一緒に、イチバン美味いオニオンチキンスープ、食いに行こうな』
「やっぱり妬いてるじゃーん」
『ちげーし。妬いてねぇし』
「ふっふふぅーん」

わっしゃわっしゃ、もっしゃもっしゃ。
大きな大きなモフモフネコモドキのブラッシングは長く長く、だいたい数十分くらい続きまして、
終わることには夏毛がどっさり、取れましたとさ。

9/29/2025, 4:19:44 AM