圭昭

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ハッピーエンド

誰かが微かに呼吸する音が聞こえる。
私の目の前には眠ったように目を閉じたまま横たわった人。
まるで時が止まったように美しく眠っているようだった。
声をかければ今にでも目を覚ましてくれる気がした。
だけど首筋へ手を伸ばしても脈拍がない。
「死んでいる。」呟いてもその言葉は煙のように浮かび上がっては夢のように霧散してしまった。
この人を見つめ続けて何年経ったのか。
あなたの顔にはいつの間にか刻まれた皺も増えて、知らないことが減ったような落ち着いた雰囲気があった。
永久に枯れぬ花のようなあなた。
薬指に嵌められた小さな指輪が始まりを
あなたの姿が終わりを造りあげていた。
そうか。あなたはもういない。
私はあなたを失ったんだ。
目の前に肉体があってもあなたはもう目覚めない。
あなたは幸せに溢れて遠くへ行ったのならそれでいい。
涙を流してあなたを私の内で留めておく。
私は悲しみに暮れるだけ。
あなたのハッピーエンドと僕のハッピーエンドは交わらない
僕が望んだあなたが主体のハッピーエンド。

3/30/2026, 4:48:22 AM