【冬へ】
朝から雪が降り続けていた。
二人は駅前で待ち合わせたはずなのに、いつの間にかどちらも相手の頭めがけて雪を投げつけ、挨拶代わりの小さな雪合戦が始まっていた。
通りすがりの人が振り返るほど騒いでいるのに、本人たちはまったく気にしていなかった。
「おい、ぶつけんな!」
「は?負けたほうがジュース奢りやからな。」
そう叫び合いながら、滑る道を走る。
片方が派手に転ぶと、もう片方は腹を抱えて笑いながら手をつかんで引っ張り起こす。
指先は冷たいのに、笑い声はやたらと温かかった。
コンビニで缶ココアを買うと、二人で屋根のあるベンチに腰を下ろした。
息が白く混じり合い、服にはまだ雪が残っている。
「寒すぎやろ。」
「でもテンション上がるやん。ほんまに楽しいわ。次どこ行く?」
寒さなんて、二人で騒げばちっぽけなもので。
肩をぶつけ合いながら歩くその道は、冬なのにどこかほかほかしていた。
二人はふざけ合い、笑い合い、雪の街をワイワイと駆け抜けていった。
冬へ向かう足取りは、雪よりも軽かった。
11/17/2025, 1:55:15 PM