「約束」
ポツリと呟く彼女を僕は見る。
星空を見つめたまま彼女は僕に続けた。
「明日も明後日も一緒に帰りたい」
僕は首を傾げながらも頷く。
「いつも一緒じゃん?」
「そうだけど…これから先もずっとがいいの」
「なるほど」
僕は頷きに徹する。
「他には?」
「んー…二人で、ワクワクキャンパスライフ送れるようにする!」
僕は笑いながら返す。
「わくわく…ふふっあと一ヶ月だもんねぇ」
「三ヶ月ぶりのデートなんだから、現実思い出させないでよっ!」
鋭いツッコミに、ごめんごめん、と笑う。
「二人で合格しよう。あと一ヶ月頑張ろうね」
こくんと頷く彼女の頭を撫でる。
「他にも願い事ある?今なら流れ星が叶えてくれるんじゃない?」
そう問うと、思ってもなかったような返答が来た。
「んーあとは……って私ばっかりじゃん。流希はないの?」
「僕はなぁ…ずっと星蘭の隣で君の笑顔を見れるなら正直それだけで十分」
星空しか見ていなかった彼女の視線がぼくを見た。
顔を赤くして照れる彼女に愛しさを覚えながらも続ける。
「ずっと。って、口でいうほど簡単じゃないことはわかってるんだ。でも、星蘭とは分かれる未来が想像できないんだ」
「それは私もだけどっ」
「だから、僕の願いは星蘭に託させて。そのかわり、星蘭の叶えてほしいことは僕ができるだけ頑張る」
そう言うと彼女は驚きに満ちた表情を喜びに変えた。
「そこで、僕が絶対叶えるよって言わないところ、私大好き」
突然のクリティカルヒットに心臓を刺される。いい笑顔で言われてしまえば何も言えない。
ただ早くなる己の鼓動を落ち着かせようと呼吸をする。
「私がおばあちゃんになっても最後まで愛してくれる?」
「うーん……当たり前!とは言えないけど……歳を重ねるごとにきっと僕は星蘭に恋をすると思うよ」
「なんでそういうことを真顔でいえるのぉ…」
何故か彼女の顔が一段と赤くなった気がするが、僕は知らない。だってそうだとしか思えないのだ。
コロコロ表情が変わって、少し勉強が苦手で、でも努力家で負けず嫌い。家族思いで、笑顔が可愛くてしっかりしているようでドジが多い星蘭が僕は愛しくてたまらないのだ。
きっとこの思いは何年立っても何十年立っても変わらないだろう。
そうなぜか思う。
「じゃあ、流れ星に何を願うの?」
そう聞いた彼女に答える。
「一緒に暮らせるようになれますように。とか?」
それを聞き、ぽかぽか顔を赤くさせた彼女に殴られた僕は何も悪くないと思う。
#流れ星に願いを
4/25/2024, 12:06:43 PM