粉末

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目が覚めるとそこは真っ白な箱の中
ではなく
黄ばんだ天井と薄汚れた蛍光灯が私を見下ろしていた。
私は眠っていたのだ。そう、思い出したぞ。
日々の不摂生。睡眠不足と栄養不足でぶっ倒れたのだ。
点滴でもして帰れと医者に軽くあしらわれ
新人らしきナースに何度も何度も針を刺された。

絆創膏だらけの青い腕。それよりも青い血管の中。
赤い血の隙間を満たした黄色の液体は
無理やりに引き裂かれ生まれた私の空白を満たしてくれはしないのだ。

暇だ。脳内ポエムをしたためてしまうくらいには暇だ。
時間が妙に長く感じる。ふるふる震えそしてぴちゃりとその他大勢になっていく雫を眺めるくらいしか娯楽が無い。
まあせっかく病院に来たんだ。栄養不足と同時に睡眠不足の解消をしよう。目をつぶって脳をフラットにする。
点滴が終わったら自分の足で家へ帰るのか。面倒だ。
目が覚めたら見知った天井だと良いのに。


病室

8/3/2024, 9:15:50 AM