瑞希

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年末、大掃除の頃。

適当にタンスに入れた物を取り出すうちに、懐かしい物が出てくる時がある。例えば、ぬいぐるみ。昔は抱きしめて眠っていたな、と懐かしくて微笑みがこぼれた。

私は、物を捨てることが苦手だった。
とは言っても、全てではない。ちり紙だったり、飲みきったペットボトルだったりは普通に捨てられる。

皆様は、八百万の神、というのは知っているだろうか。
全ての物には神様が宿っている。だから、全ての物を大切にしようというような、日本に昔から伝わる考えだ。
全てに宿っている、とは私は思っていないけれど、一部の物には神様が居るんじゃないか、と思っていたりする。

昔、引越しの関係でぬいぐるみを捨てようとした。
けれど、手に持った時に想い出が蘇ってきて、何故か涙が出てきて結局捨てられなかった。そのおかげか、家にはたくさんのぬいぐるみがある。けれど、ホラー系に出てくるような怖い感じではなく、ただ好きな物に囲まれているような穏やかな心で過ごせている。

神様のことを信じるも信じないも、人の自由だ。
でも、物を大切にする、という心は大事にするようにしている。自慢などでは無いが、無意識で大切に使っているのか物持ちがいいね、と友達に言われたりもした。

私にとっての大切な物は、日に日に増えていく。
全てを壊さずに済む、とは思っていない。
いつか、どれかが壊れるという覚悟は持っている。
でも、長く大切な物を守れるように、愛せるように、突然の別れが来た時、後悔しないように。

無意識で大切にしていたものを、今度は意識して大切に。
いつか思い出した時に、悲しさよりも懐かしさが感じられるように。そんな考え方で、私は生きている。

8/17/2024, 11:36:18 AM