僕はいま京都行きの深夜バスに乗っている。高校の卒業旅行という形で、3泊4日を京都で過ごすんだ。普通の人なら、それは楽しくかけがえのない思い出を作ろうと思うんだろうけど、僕は違う。僕の頭の中にあることは、これから送る経験は人生の中ではあまりにも短く、楽しすぎるという懸案だった。恐らく、この旅は僕の人生の中でも比類のない程に幸せな数日間になる。しかし、そうなると旅が終わった後、僕の脳はその楽しい経験をもっと味わいたいと司令を出し続けるようになる。これがなかなかに困ったもので、以前と同じように生活していても、それまでは感じなかった空虚さや物足りなさが僕の体に纏わりつくようになってしまう。つまり、このたった数日間の刹那的な幸福がその後何ヶ月間の不満を植え付け、これは人生全体の効用という観点では、むしろ旅に行かない方がいいと言う考え方だって出来る。京都旅に終わりがあるが、我々は限りある無限の旅を続けなければならない。だからこそ、僕が思うのは「時間よ止まれ」ということだ。
2/16/2025, 5:33:29 PM