渚雅

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それは本来なら,道標や希望になるべきもの
けれど,己のそれは仄暗い呪縛にも似た鎖だった。


辺りを照らすと誰かが言った。
周りを暖めると誰かはそう語る。
何かをくべて何かを燃料に火を灯す。


けれど,己にとってのそれは……

それは,誰かの夢だった。それは,誰かの希望だった。それは,誰かの懇願だった。青くて青くて若く淡い数多もの光を犠牲にして燃え上がる焔。

消すことも出来ない,残酷な罪の証。積みあがる屍の証左。逃げることを目を逸らすことを赦さぬ見えない視線。


そうなったのが何時の事だったのかは覚えてもいない。けれど,願いを託される度に姿を変えてしまったから。

優しさと覚悟を哀愁で包んだ時から,抱いたそれは毒となった。






テーマ «心の灯火»

9/2/2023, 10:36:37 AM