お題『優しさだけで、きっと』
お母さんと私は昔からそりが合わなかった
よく、ぶつかってしまったし
幼いころは
お母さんの言葉が鋭すぎて
泣いてばかりで
おじいちゃんがくれた優しさに
ずっと支えられていた
お母さんの都合で転校を繰り返し
気づけば私たちの間には
小さくない溝ができていて
私は専門学校のときに家を出た
それからずいぶん時間がたって
妹が結婚して
子どもが生まれて
お母さんは「おばあちゃん」になって
あんなに尖っていた日々が
少しずつ
やわらいでいった
私が結婚したあとは
安心したみたいに
お母さんも変わっていって
この間は
ふつうの母娘みたいに
並んで買い物をした
同じものを手に取って
少し笑って
それだけで
胸の奥があたたかくなった
――ずいぶん、遠回りしちゃったね
あの頃
おじいちゃんがくれた優しさが
今も私の中に残っている
優しさだけで、きっと
ここまで来た
おじいちゃんも
安心してくれたかな
5/2/2026, 12:16:16 PM