「君と最後に会った日」
もうすぐ遠くへ行ってしまう君と最後のお出かけ。いつもと変わらない道を並んで歩いた。
商店街もその先の複合施設も特別なことは何もなくて。
「これで最後なのだ」と妙に緊張した僕と口数少ない君だけが、この風景から切り取られたようだった。
帰り道、思い出にと贈り物を買った。
君の好きな淡いピンクの天然石がついた根付。
渡す時に心からの祈りをこめた。
君が無事平穏に過ごせますように。
気に病むようなことが起こりませんように。
それでも困ったことがあった時には、誰か頼れる人が傍にいてくれますように。
君は笑ってお礼を言ってくれた。
それが君と最後に会った日の記憶だ。
6/26/2024, 1:04:17 PM