: 夜空を駆ける
浮かぬ思いを抱えたまま
仕事帰りに立ち寄った小料理屋
うまく酔えないまま席を立つ背中に
女将が柔らかく声をかけた
「今夜の空は、おしゃべりよ…」
不思議な言葉を肩に乗せたまま
ひらりと暖簾をかき分ける
肩からおりようとしない女将の言葉が
そわそわと俺の視線を上向かせる
その視線の先には
きらびやかな世界が広がっていた
気付けば俺の目どころか
仕事のモヤモヤまでもが
煌めく星たちに釘付けになっている
今夜の空は、おしゃべりよ…
確かに、夜空を駆ける星たちは
みな楽しそうにはしゃいでいる
俺の中にいたモヤモヤが
さっぱりした顔で出ていった
粋なことをしてくれるな、女将…
ほんのり酔った心を抱きしめ
月色に灯る提灯を後にした…
桜月夜
2/22/2025, 7:28:41 AM