時折、意識が混濁しているようです
どこか遠くで誰かが泣いている音がする。
――いかないで
ハッと目を覚ますと、私達はフェンスに手を掛けて身を乗り出している所だった。
何だったんだ今のは。
途端、激痛。
激痛激痛激痛激痛激痛激痛激痛、いたいいたいいたいたすけて
――いかないで
また、だ。あの声。
私は振り返る。
ぐちゃり、潰れて凹んで歪んだ顔が歪に笑う。
いかないと、
恐怖で喉が嗄れ、叫び声は出てこない。
ひた走る、走る、走る。
ゆっくりと瞼を開く。
「……先生!意識が!戻りました!」
私はまだ、どこかで揺蕩う。
5/14/2025, 12:43:23 AM