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「日差し」

強烈な日差しが容赦なく降り注ぐ。早朝の涼しい時間に畑仕事を済ませた。お昼はそうめんにしようかな。

気温がぐんぐん上がるのがわかる。彼は大丈夫かなと少し心配になる。最近、便利屋を始めた。まだまともに仕事になってはいないが、お年寄りだけの家を訪ねては用がないか聞いて回っている。

車の音が聞こえてきた。

「おかえりなさい」
「あら、どうしたの?」
「初仕事のお礼さ」

袋に入っていたのはたっぷりインゲンとトマト。

「君塚さんに敷地の草刈りを頼まれたよ。旦那さんが入院してしまったそうなんだ」

「あら、それは心配ね」
「何かあればいつでも行くからと伝えておいたよ」
「ありがとう」

まだ二週間ほどしか経っていないけれど、日焼けして少しだけたくましくなった。草刈り機はまだ慣れていない。それでも懸命に働く姿にキュンとする。抱きつこうとしたら、汗かいてるからと逃げられた。

「シャワー浴びてくるね」

さあ、いただいたインゲンを天ぷらにしよう。君塚さんのご主人が元気になりますようにとお天道さまにお願いして家に入った。シャワーの音を聞きながらインゲンを洗う。

一人でも平気と思っていたけど、二人だとこんなに満ち足りるんだね。来てくれて本当にありがとう。

7/2/2024, 12:17:57 PM