木の葉が落ち、寒さを感じ始める季節のそのさき。冬。冬になればみんな暖かく過ごす為に思考を凝らす。人間はすごいものだなぁ。あったかい服を着る。みんなセーターを着るんだ。あったかいからだと思ってる。私はセーターが嫌いだ。冬が来るからセーターを着なくちゃいけない。私は冬が嫌いだ。冬は私が産まれた季節でもある。けどそんなの知るものか!冬が嫌いだ。
冬はなんて寒いものだ。こういうとき、詩人は皆春の温かさを求める。そんなものより夏の蒸し暑さのほうが私は欲しい(私は詩人では無いからね)。きっとみんながセーターを着るのはその微妙な温かさを求めているのだろう(みんなは私でも、詩人などでもないけどね)。私はセーターの、その、微妙な温かさが嫌いだ。いらいらしてくるのだ。それにセーターはふわふわで肌に当たってとてもくすぐったい。セーターなんか着れたもんじゃないぞ!
みんなセーターのことを有り難っているようだ。私は裏起毛のパーカーとタイツで十分だ。それに私はあまり裏起毛のパーカーとタイツも履かない。基本、スウェットを着てあったかい布団に溶けている。冬は外に出たくないから引きこもるんだ。それに引きこもっていればセーターのことを考えなくて良い。暖かければ誰もセーターのことを考えないんだ!
それでも世間が温かみを帯び雪が去ってしまったとき、みんなはまだセーターのことを考えている。君はなんて万能なんだろうね。私にとっては知ったこっちゃないけど。
桜色のセーターを来て、大きめの桜の木の下にいる。昔の私。まだ、自分の産まれた季節である冬を楽しく、嬉しく過ごしていた昔の私。温かい笑顔で私をみている、昔の私。
冬は嫌いだ。セーターなんてもっと嫌いだ。それは仕方ないって。それでも昔の私がこちらを見つめて冬の寒さの中でも、春の安らぎを感じているかのように笑うんだ。それをみると、昔が輝かしく見えてセーターだけでなく、何もかも嫌いになりそうだ。
11/24/2024, 2:36:01 PM