よつば666

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お題『行かないで』

 物陰から1人の黒髪の男子生徒が萌香達を見ていた。
男子生徒は萌香達に声をかけようか悩んでいる。

黒髪の男子生徒「どうしよう……どう声かけたらいいんだろう……」


すると男子生徒は背後に忍び寄った人物に肩を叩かれ
驚いて声を上げた。

黒髪の男子生徒「わあぁ!?」

黒髪の男子生徒の肩を叩いた男子生徒はきょとんとした顔をしたまま声をかける。

驚かした男子生徒「船星(ふなぼし)何もそこまで驚く事あらへんやろ。お前BBQで焼く野菜を取りに行ったきり戻って来うへんから、同じメンバーの奴ら先に肉だけ焼いて食べ始めてんで」

驚かした生徒、大神 天河(おおがみ てんが)に名前を呼ばれた黒髪の男子生徒、船星は萌香達をチラチラ見ながら謝った。

船星「ご、ごめん。急いで取りに行く」

大神「ちょい待ちぃ」

そう言って大神は船星の手首を掴んで、こそこそと内緒話を始めた。

大神「男やったら先にやることやってから野菜取りに行かな、あかんやろ!」

船星「やるって……何を?」

大神「ナンパやろ?湖畔におる女子に……ちゃうの?」

船星は何も言い返せない。
間違っているようで間違いではない、ただあの日あの女子生徒(萌香)が屋上から誰に向かって、叫んだのか知りたくて声を掛けようか迷っていた。
迷っていたら大神にナンパすると勘違いされてしまった。返す言葉を考えていたら、大神は僕を置いてあの女子生徒へ歩き出しているではないか。
僕は心の中で『まだ心の準備ができていないんだ。だからまだ行かないで!!』と叫んでいた。

10/25/2024, 7:56:31 AM