佐藤 と塩

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街の灯りが消えていく、ひとつふたつ…


この鳳凰の里は新しい命を迎えると自分の化身の炎、生命の灯をつける。
生命の灯は一生を遂げるまで灯り続ける。


鳳凰に祈りを捧げている。煌びやかな舞衣装に、華やかな音楽。踊っている少女はヨーリジア。紅い髪をした舞姫。








「襲撃だ!!」
シドラスの兵だ。


隣国のシドラスは生命の灯の源『鳳凰の泉』を求め鳳凰の里に攻めてきた。
永遠に燃え尽きることの無い炎の泉。永遠と燃え盛る炎の泉。
この泉は鳳凰の死骸と言い伝えられており「泉、翡翠に変わりたるとき鳳凰復活の兆し」という古い言葉もある。



灯がだんだんと消えていく。最近つけたばかりの灯も消えていく。


生き延びなければ。
ヨーリジアは森の暗闇に消えていった。


あの晩から夜が何回開けただろうか。ヨーリジアは帰路をたどった。

ひとつしか残っていない生命の光。

紅い髪の舞姫は踊った。

鳳凰に祈りを捧げた。


涙を流しながら。



鳳凰の泉が揺れ動く、炎が翡翠に染っていく。




7/8/2024, 2:22:36 PM