『夏の忘れ物を探しに』
あの夏、私は恋心を忘れた。
もう二度と恋愛をしないと心に決めた夏だった。
人を好きにならないために、
自分には向かない、つらいだけだと思い込ませた。
3年経った今も恋心を思い出せそうにはないけれど、
欠片を拾うことが稀にある。
足元でチリンと音が鳴り、拾おうとすれば、
脳に危険信号が鳴り響く。恋愛をするな、と。
自分にかけた呪いに、いつまで苦しむのだろう。
あの日に置いてきた恋心を、いつ拾えるのだろう。
いつかちゃんと、欠片ではない恋心を探しに行きたい。
9/1/2025, 2:05:36 PM