きれいな黄金色に焼き上がったマドレーヌを、鼻歌交じりにケーキクーラーの上に乗っけていく。
型から取るのに失敗したコをツマミ食……否、味見。
出来たてホヤホヤの熱いマドレーヌを一口嚙った。
こんがりとしたバターが香り、優しいハチミツの甘みの後、爽やかなレモンピールの苦みが口いっぱいに広がっていく。
……思わずもう一つ食べてしまいそうになるが、既のところで堪えて、マドレーヌの粗熱がとれるまで暫し待つ。
マドレーヌが十分冷めたところで、焼いている間に作っておいたアイシングをスプーンで掬ってマドレーヌに丁寧にかけていく。
薄く薄く、純白のアイシングの下の黄金色が透けて見えるくらいに。
艶々のアイシングが乾いていくのを眺めながら、今も仕事に勤しんでいるのだろう頑張り屋な君を想った。
テーマ「世界に一つだけ」
9/10/2023, 4:35:29 AM