「ありがとう、今日は100日に一度あるかどうかの特別な日だ」
僕が会いに行くと、君はいつも決まってそう言った。
【連日連夜spacial day!】
「君はいつも大げさだね。ここのところ毎日会っているじゃないか」
「そうだよ、だからここ最近は、毎日が特別な日だ。本当に、会いに来てくれてありがとう」
感情を盛っている様子はなく、心の底からそう思っているらしい口ぶり。僕は不思議な気持ちになる。
「……不老不死になると、そういう感覚になるものなの?」
「そうだよ。心から大切にしたい人が生きていてくれるのは、私の人生からすればほんの一瞬。私は人生全体の百分の一だって、大好きな人と過ごすことはできない」
寂しそうに、君は目を伏せる。君にとっては本当に、僕と過ごす毎日がかけがえのない、特別な日なんだ。改めて実感する。
「……君にとってはそうでも、僕にとっては日常だからなあ。たまには、僕も特別なことをして過ごしたい」
「例えば?」
「君と一緒に、人魚を探すとか」
僕が言うと、
「いいね、それ」
君はふわりと笑う。一生に一度見られるかどうかというくらい美しい微笑みを、毎日でも見ていたいな、と思う。
7/19/2025, 8:28:41 AM