街の明かり
車のライトが、草を刈り分けたような道を照らす。
でこぼこのアスファルトのせいで、車が小刻みに揺れている。実家まで、あと少し。
事故を起こさないようビクビクしながら車を走らせていると、柔らかな明かりがぽつり、ぽつりと灯る集落が見えた。よかった。無事に着いて。
集落の細い道をくぐり抜け、比較的新しく見える一軒家に車ごと入る。エンジンの音で気がついたのか、引き戸がからからと開いた。中から人が出てきたのを見て、私も車から降りる。
「おかえりなさい。よく来たわね」
お母さんが、月の光のように優しく笑ってくれる。
今年も帰ってきて、よかった。
「お母さん、ただいま」
やっぱり私は、都会のきらびやかな光より、田舎の静かで、優しい明かりの方が好きだ。
7/8/2023, 12:54:13 PM