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お題:行かないで

 自分は現在必死に走ってる。
心臓の脈がドクドクと鳴ってるのを感じる。
それでも足を止めることはできなかった。

 時刻は現在朝の8時25分、最寄のバス停に来るまで残り3分。
今朝起きたら、時計は8時示していた。
「なんで目覚ましは鳴らなかったんだよ」
自分は文句を言いながらも大急ぎで準備をして家を出た。
最寄のバス停から家まで走って12分ほどの距離にある。

今日は会社のプレゼンがある日だ。
(今日遅刻したら企画から外される、ヤバい、まじヤバイ)
やっと念願だった企画を任せて貰えたんだ。
この日のために寝る時間を惜しんで準備だってした、絶対遅刻するわけには行かないんだ。

 僕は走った、それはもう必死に走り、漸くバス停には着いたが、バスは無常にも扉が閉まる瞬間だった。
(あぁ終わった……)

僕はスーツが汚れるのも気にせずに膝を付いた。
とりあえず会社に連絡をしなければと思い、スマホを取り出した。
スマホの画面には 9月7日(日)
と書いてある。

なんと仕事は休みだったのだ。
自分は思わず安堵の溜息吐いた。
よし帰るかと思い重い腰を上げた。

ピロリン♪

スマホが鳴った。
確認すると友人から連絡だった。

(お前の家に忘れ物したから今から取りに行く、近くにいるから15分ぐらいにはつくから)

(待て、もう少し後に来いよ)

(いや今日の昼から必要なやつだから今から行くわ)

それから連絡しても既読はつかなかった。
今の自分はスーツ姿だ、今日出社と勘違いした僕の姿を見て、友人はどう思うか考えた。

答えは一つだ。
大笑いされ、ネタにされるだろう。
自分も友人が同じことしてれば、余程のことが無い限りネタにする。

友人が我が家に来るまで残り15分。
僕は大急ぎで家への帰路へ着いた。


頼む友人よ僕の家へどうか行かないでくれ。


10/24/2023, 4:10:32 PM