「新年」
「ニンゲンしゃん!」「ニンゲンくん!」
「あけまして」「おめでと!」
「今年もどうぞよろしくお願いいたします。」
「よろしくお願いします。」
「ニンゲンしゃん、ごはんよういちてくれたの!これなあに?」「これは……おせちと雑煮。健康とか、真面目に暮らすこととか、色んな願いを込めて作られてるんだ。」
「おや、キミは丸餅派なんだね?」「本来は円い餅が太陽、つまり神様を現すんだ。角餅がある理由は、円い形に成形する手間がかかるからなんだって。」
「だからあるべき姿の丸餅を食べてるんだ。」
「へえ、よく知っているね!さすがニンゲンくん!」
「なるほど、勉強になります!」
……ついつい知識をひけらかしてしまった。
でも、みんなが温かいおかげで許してもらえてよかった。
「ゆっくりおせちとお雑煮を食べたら、初詣に行こうじゃないか!」「はちゅもうで?」「そう!初詣!!」
「……初詣っていうのは、鉄道会社による創られた伝統なんだ。」
「色んな神社が駅の近くにあるのは、鉄道会社が儲けるためで───」「アレだろう?!本当はお正月は年神様を迎えるために家で過ごすのが正しいんだろう?!!」「……うん。」
「まあ細かいことはいいじゃないか!!とにかく行くよ!!!」
こうしてひとりと3人(?)で初詣に行くことになった。
「どこの神社に行こうか?」
「近所の小さな神社なら人が少ないから、そこにしよう。」
「じんじゃー?」「神様が祀られている所だよ。」「へー!」
少し歩いたところで、お目当ての神社に着いた。
いろんな色の椿が咲いていて美しい。
「おはな、きれいだねー!」「本当だね!」
せっかく神社に来たから、何か願い事をしよう。
「そうだね!願い事かぁ……。」
自分の願い事は、平凡に暮らすこと。
ゆったり、何もせずに生きていきたい。
ただ、それだけだ。
「おや!!!願い事が質素すぎる!!!」
「もーっと!!!宇宙が元気に存在できますように!!!とか!!!もっとあるだろう?!!」
そんなことを言われても……。
「ぼくはねー、もーとおおきくなりたいです!おとーしゃんは?」「私は、ニンゲンさんと君達が元気に過ごせることをお祈りしておくよ。」「ありがとー!」
……こんなふうに、誰かの幸せを願うことができたなら。
そうだ。それなら。
みんなが、誰かが健康に、平和に、幸せに暮らせますように。
なんて心の中で思っていると、小さな機械ははじけるような、可愛い笑顔を見せてくれた。
今年もいい年になりますように。
1/2/2025, 12:41:56 PM