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何気ないふたり

「明日になったら忘れてね」
そう言って眠った彼女は、必死にいつも通りに振る舞おうとして震えた声をなるべく隠してベッドの向こうを向いた。鼻をすする音と濡れたまつ毛がいつも通りではないことを主張しながらも。愛子(あいこ)はどう声をかけていいか分からなかったし、申し訳ないけれど明日からいつも通りに振る舞えるとも確信がなかった。

大学生になって初めて話したのは愛歩(あゆみ)だったし、一番仲良くなったのも愛歩だった。愛子は大学生になって人間関係を上手く作れるか自信がなくて、オープンキャンパスの時点で色んな人に声をかけて連絡先を貰っていた。その時はまだ入学してなかったしちょっと勇気を出すだけで入学後の大学生活が豊かになると思うと充実感すらあった。しかし所詮その場限りのネットワーク。入学した後は実際コマが被った時だけ会話する、みたいないわゆる よっ友ばかりしか残らなかった。その中で唯一その後大学で交流が続いたのが愛歩だった。

3/30/2026, 1:07:50 PM