ユートピアの表世界を『昼』と称するなら、権力者集団がいる場所は『夜』、それも『真夜中』だろう。
光が一切当たらない場所。
光を生み出そうとしても無理だった場所。
施設を別の場所に建てようとしたとき、建設予定地だった場所が、光が当たる暖かな地から、暗闇に飲み込まれた冷たい地へと変化した、なんて言われてる。
要するに、ボクら権力者はそもそも日の目を見ることさえ禁じられている、なんて解釈もできる。
権力者は寝る場所さえも暗闇に包まれるらしい。つくづく面倒だな、って思う。
⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯他人事だな。
そりゃ、そうなんだけど。
だって、ボクの寝る場所は暗くなったりしない。ずっとユートピアの表世界の明るさを保ってる。
理由は分かる。
ボクが元々権力者じゃなかったから。成り上がり権力者だから。
だから、明るい。多分、きっと。
ボクの寝る場所が暗くなった時、ボクは演奏者くんのことを敵としか見れなくなる気がする。
目が覚めて、明るいことを確認して、いつもほっとする。
彼に恋してる自分が、自分によって消えるんじゃなくて、いつの間にか他人に消されるのが嫌なんだ。
ワガママなことはわかってるけれど。
明るい空を部屋から見上げながらボクはそうおもった。
5/17/2024, 3:50:06 PM