君の傘は小さい。いや、俺がでかい。
朱色の傘を二人で分け合う。
分け合うと言いつつ大体は俺の肩が占める。
なんなら傘から少しはみ出ている。
君は申し訳なさそうだ。
俺も申し訳なくなる。
せめて、と思い俺が傘を持つ。
君の歩幅に合わせてチマチマ歩く。
周りから見れば滑稽だろう。
君はいつもなら乗らないバス停に並んだ。
ちょうどバスが行った頃らしい。
屋根の下の長イスに座る。
君は傘を畳みながら、今日はすみません、と言う。
俺の方こそ、と言う代わりに、お礼を言った。
あなたと帰れるの、嬉しかったです。
君はきょとんとする。
自分の鼻息が荒くなってないか不安になる。
君はちょっと笑って、次は大きい傘を買います、と言った。
バスに乗り、君と違う駅で降りる。
帰り道、君の言葉を反芻する。
反芻しながら、雨の中、踊り狂うように走って帰った。
題:通り雨
9/27/2024, 1:49:42 PM