蒼月の茜雲

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テーマ“降りやまない雨”

空は晴れる事を忘れたかのように
ずっと、雨を降らせている。
もう、何年も青空を見ていない。
人々はそんな中で、森や自然を失わないようにと
透明なドームのような空間を作り上げた。
それはもう、急ピッチで。
人の住まう場所、森、田畑
初めは、大まかな場所だけだった。

けれど、もう数年も経過すると
山や川なんかも、ドームで覆っていた。
雨に濡れることのない
けれど、青空を見る事は出来なくなってしまった世界。
大人は、うっすらと、青空の記憶があるけれど
子供は、青空を見たことない子のほうが多い。
空は永遠に雨を降らせる物なのだと信じている子も居るようだ。

蒸発をしなくなった雨をも
蒸発させるための装置まで作って
ドームの外の場所に設置をしている。

その装置が悪いのでは無いかと
声を荒らげる人たちも居るけど
もし、その装置を無くしてしまったら
この世界は、もう水に支配されてしまうだろう。

それこそ、この星は
水の惑星と言われる程
水の面積が広いのだから。

この装置を止めたとして
晴れるとは限らない。
例え、晴れたとしても
僕らはここでしか生きられない。

外が水に支配されていると言う事は
本来なら酸素を作り出すはずの植物は
外には無い。
例え晴れたとしても…
外には出られない。

生き物は、このドームに逃げ込んだその瞬間から
外では生きられなくなったのだから…。

今日も、外は雨が降りしきる。

5/25/2024, 3:08:12 PM