綴 白

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素足のままで
鞄もノートも全部机に置き去りにして僕は逃げ出した

──今となってはもうどうでもいいんだ。
あいつのことも、みんなみんな知らない。
これは僕の逃避行だ。

夢に描いた学生生活なんて、どこにもなかった。
教室に座るたびに胸に痛みが走り、
笑い声の中で自分だけが取り残されていく。
それが毎日繰り返されて、
増えていく手首の傷も、
シアワセなんて四文字もなくなっていった。

きっとみんな偽善者で、いつかは裏切る。
だったら最初から、手なんか差し伸べないでくれ。
希望の光なんて、見せないでくれ。

なぁ、誰かこんな僕を救ってくれよ。

──

あの日、君は最期まで無邪気に笑っていた。
ひまわりのような笑顔を、僕はいまも探している。

けれど、どこを探しても君は見つからないんだ。
授業は今日も行われているのに
君だけが、どこにもいない。

ただ、君の席に置かれた一輪の白い花が静かに存在しているだけだ。

教室は今日もざわめいていた。
君がいなくなったというのに、
僕は助けられなかったというのに。
誰もが笑っていて、
まるで僕だけがあの時に取り残されているみたいだ。

時計の針が止まった君と動き続ける僕の時計

僕は無力だ。
無力な僕は、これからどう生きていけばいいんだ。
なぁ、教えてくれよ──。



__素足のままで


綴 白_

8/26/2025, 10:28:00 AM