この都市に来た時、私は誰かを好きになるなんて思わなかった。誰かを好きになっても、相手が私を好きになってくれるなんて思わないじゃない。
そんな深く話してないの。
でも好きなものが近くて、気がついてないものも気がついてくれて、優しくしてくれた。
笑って声をかけてくれるのが嬉しくて、その笑顔に胸がドキドキして、彼への気持ちに気がついた。
だいすき。
彼が他の女の人と一緒にいると、ズキッとして胸が痛い。
そんな彼に手を伸ばしてもらった。
私を選んでもらえた。
彼の暖かい胸の中におさめられた時は幸せで仕方がなかった。
だいすき。
「君と気持ちが一緒で嬉しい」
そう、彼に言われた。
私もそう思う。
「俺は君の魔法にかかったの」
「私は魔法使えませんよ?」
「でも、俺は君にとらわれてる」
そう言われて、私もそうかもと笑ってしまう。
「なら私もあなたの魔法にとらわれてます」
視線が絡み合い、お互いに自然と笑みがこぼれた。
「大好き」
「大好きだよ」
おわり
二八三、魔法
2/23/2025, 1:08:06 PM