『ハッピーにするために』
ぼくは
ハッピーを知っている
だって
教えてもらったから
泣いている顔は
ハッピーじゃない
だから
泣き止ませれば
それでいいんだ
道具は全部
正しく光っている
説明書も
ちゃんと読んだ
なのに
どうして
うまくいかないんだろう
笑ってほしくて
触っただけなのに
助けたくて
選んだだけなのに
世界は
ぼくの知らない音を立てて
壊れていく
「これを使えばいい」
「次はこうすればいい」
「前よりマシになるはず」
そう思うたび
誰かの目が
遠くなっていく
ぼくは
間違ってない
でも
合ってもいない
泣いている理由を
知らないまま
涙だけを
消そうとした
その人は
何も言わなかった
怒りもしなかった
ただ
どこにも行けない顔をしていた
そのとき
初めて
道具が
重くなった
ハッピーは
渡すものじゃなくて
奪えないものだと
知らなかった
ぼくは
そばにいればよかった
何もしなくて
よかった
でも
気づいたときには
戻る場所は
もうなかった
それでも
願ってしまう
次こそは
正しく
何もせずに
隣にいられますように
ハッピーを
作らなくても
失わない世界で
1/4/2026, 9:49:49 AM