Kagari

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夜が明けた。

 私にとっては一種の希望でもあれば、別の視点から考えた時には絶望にもなる。
 できれば清々しい朝として朝日を歓迎したいんだけどね。素直に歓迎できない日だってあるんですよ。誰だよ、私が短命だとか言った奴は。

「「神様」」
「こういう時だけ声揃えて言うの止めてもらえますぅ⁈」

 ハモるのは私と双子の弟だけと思いきや、今回はその弟と後輩がぴったり合わせて来ちゃったよ。

「いまは気にすんなよ。どうせ人間いつかはみんな死ぬんだから」
「そうだ。海から太陽が昇る瞬間ってすごいエモいらしいよ。今度行ってみようよ」
「俺ら初日の出も拝んだのにな。どんだけ太陽好きなんだよ」
「むしろ嫌いな人いる?」
「紫外線強いのはちょっと」

 後輩の提案で、水平線から太陽が昇る瞬間を見に行った。初日の出も綺麗だと思ったけれど、こっちもこっちで綺麗。

 どうしてこんなに身体が震えているんだろう。
 どうして、私が抱えていた悩みが小っちゃいものなんだって思ってしまうんだろう。

「……もっと見たいな」

 綺麗なものも、夜が明ける瞬間も、もっともっと見たい。

 夜が明けたから、綺麗なものを探しに今日を生きようって前向きになれる。



(いつもの3人シリーズ)

4/29/2025, 8:45:29 AM